日本ローカーボ食研究会

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症例1 外来2型糖尿病患者における介入前後の食事内容変化

60代女性 主婦

夕食CARD実施。治療開始から6ヶ月でHbA1c6.7%から6.1へ改善。BMIは21から20へ。アマリール(1mg)1錠の内服がありましたが、食事療法開始と同時に中止。薬をやめることができ、ローカーボ食のみで改善した典型的な症例です。

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初診HbA1c6.7%より、夕食CARDを開始。HbA1cの改善だけではなく、BMI21より極端に体重が減りすぎないようにすることも課題となった。介入前の3日間食事日記からは、主食以外にも糖質の多い野菜や菓子類など、全体的に炭水化物・糖質の摂取量が多い印象を受けた。初回の栄養相談では、「脂質」の摂取に抵抗を示されたので、脂質では血糖値が上昇しないこと、腹持ちを良くさせるので十分に摂取するように説明した。また、初めてCARD食を実施する場合、炭水化物・糖質の多い食品を減らしただけで、そのまま食事量が減少してしまう場合もあるので、BW維持という面からも食事量が減らないようにすること、また、間食はなしにするのではなく、炭水化物・糖質の少ないものを食べるように指導した。
食事日記の1例を見ると、夕食CRAD開始後、間食や夕食で炭水化物・糖質の多い食品を控えて、「さば」「鶏肉焼き」「ナッツ」で蛋白質・脂質を摂っている。3日間食事日記からの摂取エネルギーは2020kcalから2041kcal、摂取栄養素重量は、蛋白質65gから80gへ増加、脂質は62gから162gへ増加、炭水化物は290gから158gへ減少した。摂取エネルギー比は、蛋白質は介入前後共に13%ene、脂質は28%eneから60%eneへ増加、炭水化物は58%eneから26%eneへ減少した。夕食CARDという緩やかな制限にも関わらず、炭水化物摂取エネルギー比が26%まで減少したのは、患者さんが自発的に朝食や昼食でも炭水化物・糖質を摂りすぎないようにしていたと同時に、脂質摂取が増加したことも影響していると考えている。
その後、HbA1cは5.9~6.5%、BMI20を維持。DM薬の内服はないままで、食事も大きく崩れることなく夕食CARDを継続している。この患者さんでは、食事量や脂質量ともに充分摂取していることで夕食CARDを無理なく継続でき、HbA1c改善、BW維持ができたと考えている。現在、栄養相談では、食事内容は安定しているが、炭水化物・糖質の多い間食や外食が増えるとHbA1cが上昇する傾向にあるので注意するよう話している。

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