日本ローカーボ食研究会

日本ローカーボ食研究会

第四回学術集会参加者の印象記

学術集会参加の印象記

名古屋大学医学部付属病院 呼吸器外科 宇佐美範恭

 昨年末、妻が買ってきた『正しく知る糖質制限食』という本の中で日本ローカーボ食研究会という活動があることを初めて知りました。少し前から、糖質制限に関心を持ち、自分でも実践してみたところ、予想以上に減量でき非常に興味をもっていましたので、今回の研究会に参加させていただきました。
 この本の執筆者の灰本先生は、私の上司の大学の同級生で、しかも他の執筆者も名古屋の先生方が多く、ご縁を感じました。

 今回の研究会の内容は、大変興味深く拝聴しました。自分は外科医であり、糖尿病の知識はそれ程深くはないので、灰本先生からレクチャーのあった最近の糖尿病に関する知見は、まさに目からうろこでした。薬によってHbA1cを下げすぎると死亡のリスクが高くなること、死亡リスクからみた適切なBMI値の話は、特に衝撃的でした。
また、ローカーボ食を実際に臨床に用いている先生方のお話も大変勉強になりました。中でも特に面白かったのが、村坂先生のアルコールを飲んだ後の血糖値の変化についての発表でした。これは、実に画期的な研究だと思いました。もしも、これが様々な食品で行われたとしたら、さらに面白いデータになるのではないかと思いました。

 私が、糖質制限に興味を持つことになったのは、そもそもブドウ糖が癌の増殖と強く関連しているからです。仕事上、多くの肺癌の患者さんの外科治療を担当しますが、手術前には必ずPET検査を施行しています。この検査は、単純に言うとブドウ糖を注射して数時間後にブドウ糖が集積する部位を検出する検査です。多くの悪性腫瘍はブドウ糖の代謝が亢進しているため、悪性腫瘍に一致してブドウ糖が集積します。そのため、良悪性の診断や遠隔転移の検索に関して非常に有用な検査です。また、文献上、ブドウ糖の取り込み具合が高度な腫瘍ほど悪性度が高いと知られていますし、実際臨床においてもその相関関係を強く実感しています。
癌とブドウ糖代謝のことを少し勉強すると、興味深いことがいろいろあります。癌細胞は、あえてブドウ糖のみを栄養としていること、逆に言えばタンパク質や脂肪をエネルギーに変換することが苦手なこと、酸素を使わない嫌気性解糖が中心となっていること、などなど。これらの事実を合わせて考えると、理論上ブドウ糖を制限すれば癌細胞を兵糧攻めにできるのではないかと想像できます。この点について灰本先生にお伺いしたところ、この分野はまだまだエビデンスない分野で、これからエビデンスを積み上げていく状況とのことでした。

 手術後、患者さんから「食事に関してはどんなことに気をつければいいですか」とよく聞かれます。それに対して最近ではできるだけ糖質を控えるようにアドバイスしていますが、一般的には「何でも食べていいですよ。お酒もいいですよ。」と答えることがほとんどでしょう。癌細胞がブドウ糖のみを利用して増殖している事実を考えると、何でも食べていいというアドバイスは、とても危険な感じがします。現時点ではブドウ糖を制限して良い結果が得られるというエビデンスもない状況ですが、個人的には、癌への応用に関して、非常に興味をもっています。

 研究会に参加させていただき、ローカーボ食について多くのことを学ばせていただきました。今後もこのような機会がありましたら、是非勉強させていただきたいと思っております。ありがとうございました。

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