日本ローカーボ食研究会

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定期勉強会に参加して

「第1回症例検討」

勉強会の1週間前に患者さんの身体所見や血液データ、食事日記を送り、症例について考えてもらいました。

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下の食事日記は、左が治療開始前、右は2ヶ月後で、(紫の字)は糖質を多く含む食品の糖質含有量です。

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 私たちの方針は、①HbA1cの目標値は(6ヶ月間は服薬なしで)7.0% ②甘い液体由来の糖質42gを除く ③その代わりに脂質の多いおやつ(ナッツ)を増やすように指導(具体的な量は指示はなし)です。
〇は5月(初回)の栄養相談で減らすように指導した甘い液体由来の糖質です。5月から6月の1ヶ月間でHbA1cは0.3%下がったので、6月の栄養相談ではこのままの食餌療法で良いと思っていました。しかし、7月には7.6%に悪化してしまいました。7月の食事日記では主食由来の糖質は235gから245gへ増えていただけではなく脂質も52gから76gへ増えていました。

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この経過について参加者と検討した内容は大きく分けて3つです。①私たちのHbA1cと一日の糖質の摂取量の設定について ②減らすべき糖質源について ③5月(初回)の食事指導のどこが問題だったかです。

 Web参加した管理栄養士さん達は経験が5年程ある先輩ばかりでしたので、私のように甘い液体を全部中止するではなく、豆乳や自家製ジュースなどを残すか、せめて液体由来の糖質を半分程度に減らすという意見がほとんどでした。また、この患者さんは液体由来の糖質をやめて脂質を増やすよう指導したら、主食由来の糖質が極端に増えさらに脂質も増えるという予想外の食行動をとりました。先輩の管理栄養士さんからは、このように少しズレた患者さんが結構いるというお話も出ました。参加した管理栄養士さんからあるあるのお話が沢山出て、気づくと1時間も経っていました。甘い液体を必要以上にやめさせてしまったために、患者さんが主食由来の糖質を増やすという抜け道を見つけ、予想外の行動取ってしまいました。「主食由来の糖質は変えないで」と一言伝えておけば防げたかもしれないと反省しました。

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最後に院長先生が管理栄養士は鉄砲も矢も飛んでこない安全な後方で作戦会議を行っているだけ。患者さんは戦場の最前線で、調理をする妻や一緒に食事をする家族といろいろな意味で戦っている。そういう想像力が管理栄養士には足りていないという話題をイラストを使って説明してくれました。机上の空論にならないよう栄養相談をしなければと改めて思いました。


 

 

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