日本ローカーボ食研究会

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第11回定期勉強会 印象記 加藤潔

名古屋大学名誉教授 加藤 潔 

 医師、管理栄養士、看護師、薬剤師など医療関係者が一堂に会して、ワークショップ形式の症例検討と講義との組み合により回を重ねてきた勉強会も、今回を一区切りとするとのことであった。今回も「症例検討」、「臨床栄養学講義」、「糖質制限食・糖尿病講義」各一件の構成で開催されたが、ここ数回に比べ医師の参加が目立ったように思う。
 症例検討は「ローカーボ食実行中にHbA1c突然悪化した症例」で、筆者と同年代の高齢の女性についてその原因を挙げ、以後の糖尿病の治療をどうするかという課題であった。各グループから原因として複数の可能性が挙げられたが、村元医師から造影CTの画像解析をもとに、各グループが共通して挙げていた膵臓癌と診断をしたことと、その詳細についての解説と措置の説明を受けた。
 原因については概ね予想どおりであり、治療をその道の専門家にゆだねるとの措置は妥当と受け取った。ただ、その後の糖尿病治療をどうするかとの課題については、とても安易には答えられず、苦しささえ覚えた。筆者は基礎科学としての生理・生化学を学んできたが、医療従事者としての訓練は受けておらず、無論実践経験もない。同じ生命科学といっても、患者とのやり取りを通じてこの課題の答えを追求し続けることが、基礎生物学だけではなしえない臨床医学独自の責務であり、両者の違いではなかろうか。 ワークショップでは筆者も意見を述べたが、個人的経験の上に作り上げた偏狭な一つの生命観の上に立つ意見であるとのそしりは免れない。

「臨床栄養講座」は管理栄養士の渡邉さんによる外食でもなく家庭料理でもない、中食と名付けた調理味付け済みの食材をもとにした糖質制限食の実践法の紹介であった。生活を外食に頼らざるを得ない人が増え、スーパーばかりでなくコンビニでも惣菜を入手できるのが当たり前になった時代を見据えた実践講座であった。

理事長の灰本医師による「糖質制限食・糖尿病講義」は、本勉強会および日本ローカーボ食研究会発足以来顕著となった糖尿治療についての世界規模のパラダイムシフトをまとめて解説するものであった。論点は既刊の「正しく知る糖質制限食」(技術評論社 2013)やこれまでの日本ローカーボ食研究会学術集会などを通して適宜紹介、議論されてきたので、記録を手繰れば納得出来ることが多い。しかし、恒に新たな論点が生まれ、新たに沈む論点もあることが当たり前なので、今回のようなreviewは有用である。ただ、勉強会を一区切りとすることを意識されていたためか、講義速度が速く、内容も盛りだくさんであったので、筆者の力では講義について行くのがやっとであった。

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