日本ローカーボ食研究会

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日本には覚せい剤が蔓延している?

日本には覚せい剤が蔓延している?「世界の薬物汚染マップ」でわかった、日本の実態!

じん薬局 加藤 仁 記

 また芸能人(元ではあるが…)が覚せい剤所持で逮捕されるというニュースがテレビを賑わしている。
私は薬剤師という仕事柄、薬剤の恐ろしさを知っているからとても麻薬などに手を出してみたいなどとは思わないが、なぜ人はこんなに簡単にもすべてを失う薬剤に手を染めてしまうのだろう? 身を滅ぼす最恐のアイテムなのに…。 遅めの晩酌をしながらそんな風に考え、少し調べてみた。興味深いデータなどを見つけたので紹介したいと思う。

 もともと覚せい剤や麻薬も、病を癒すクスリだったものである。いつからクスリであったものがリスクに変わったのだろうか?
江戸時代半ば、今日の医療を支える全身麻酔を世界にさきがけて生み出したのが、華岡青洲である。麻酔を実用化するため、青洲はけなげな妻の協力のもと、薬草の調合を繰り返し、実験を重ね、ついには彼女の視力を奪ってしまったという言い伝えは有名だ。「人の痛みや苦しみを取り去る麻酔は、人体にとっては深刻な毒にもなる」それを悟った青洲は、完成した麻酔薬のレシピを門外不出とし厳重に管理し続けた。やがて時は流れ、新たな薬草を使用するなど幾多の改良を経て、現代では多くの患者が麻酔薬の恩恵を受け、無痛の治療で命を救われている。しかしその反面、青洲が恐れたように医療とは無関係の人の手に渡った薬物は“麻薬”となり、人の健康と命を蝕んでいる現実がある。
 いま、世界ではどのように麻薬が使われ、どのような影響を及ぼしているのか? WHOが発表したデータから少し考えてみたい。

■国連マップ:世界の統計 (http://recoverybrands.com/drug-treatment-trends/)
 この統計データは、世界を汚染する麻薬の現状を視覚を通して理解することができるドラッグマップだ。マップの製作にあたり参考にされたのは、全世界的な薬物規制・犯罪の対応にあたる国際連合薬物犯罪事務所(UNODC)の2014年度のデータである。
 公開されたマップは、次の3つ。

(1)「薬物中毒への治療を受ける人の数」を比較するマップ(グレーはデータなし)

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(2)「大量摂取による死亡者数」を比較するマップ(グレーはデータなし)

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(3)「その国で最も流通している麻薬の種類」を比較するマップ

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 さて、とりわけ(3)の「その国で最も流通している麻薬の種類」に注目してみよう。
あざやかに塗り分けられた配色が、その国で一番人気があり、乱用されている麻薬が何であるかを示している。
・水色:コカイン
・青色:オピオイド系麻薬/アヘン
・緑色:マリファナ
・サーモンピンク:有機溶剤/シンナー
・赤色:アンフェタミン系興奮剤/覚せい剤
・オレンジ色:鎮静剤/精神薬
・紫色:その他
・灰色:データなし

 ざっと目を通してみると、オピオイド系麻薬/アヘンの乱用を表す青色が広範囲にわたって塗られており、続いてマリファナの緑色が多く散らばっている。日本はどうか…と見ると、他の色よりも目立つ赤色で塗られている。ということは、わが国では覚せい剤が乱用されているということだ。
 では、次回はここから「覚せい剤」「アヘン」「マリファナ」の3つの麻薬に焦点を絞り、流通の背景や問題点をさぐってみる。

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