日本ローカーボ食研究会

日本ローカーボ食研究会

名鉄百貨店でのローカーボ講義

名鉄百貨店でのローカーボ講義
―“あなたに適したそれぞれのローカーボ”がある―

 灰本クリニック 灰本 元 記

 名古屋駅前の老舗、名鉄百貨店が「ローカーボ生活」という命名で、ローカーボによって肥満やメタボリック症候群を予防して健康になるための生活支援という企画を打ち出した。社長がローカーボでたいそう痩せて健康になったという実感を基に、企画室の担当者の皆さんが努力を重ねてこの企画を完成させた。この企画はローカーボに関するさまざまな食品、レストランメニューやグッズなどの情報だけでなく医療情報までも会員(無料登録が必要)へ提供するというものである。
 私たちNPO法人日本ローカーボ食研究会は医師、管理栄養士、薬剤師、食品メーカー、製薬メーカーなど、つまりプロへ安全で有効なローカーボの方法を啓蒙することを目的に活動してきたので、一般向けの啓蒙活動はほとんど行ってこなかった。しかし、ローカーボが一般に浸透しているにもかかわらず、医師、管理栄養士へは一部を除いてなかなか浸透しない現実を考慮すると、“ゆるやかなローカーボ”のあり方、有効と無効、長期間続けたも安全に行うための課題などの科学的情報を一般向けに直接的に啓蒙活動する時期にさしかかっているようにも思う。そのような気持ちで名鉄百貨店「ローカーボ生活」を医学的な監修をお引き受けすることに決めた。なにより、社長も企画室担当の方々もたいそうまじめで、民間療法にありがちは歯が浮く軽々しさがなかったことが、この監修を引き受けたもう一つの理由である。
 そのような背景で9月から一般会員募集は順調に始まり、11月12日(土曜日)午後1時30分から第一回のローカーボ講演を私と管理栄養士渡邉志帆さんが行なった。応募があったなかから抽選で100人が参加した、およそ70人が参加できなかったそうである。参加者は40才から70才までの女性が2/3を占めていた。私の講義「ローカーボで血糖値と体重が減る仕組みと注意点」は医師向けの講義を一般向けに易しく解説したものでやや難しかったかもしれない。渡邉さんの講義は絵と写真ばかりでクイズなどもあって楽しい雰囲気で進んだ。終了後に的を得た質問が数多くあって予想以上に有意義な講演会となった。この講演は内容を変えながら6か月に一回開催する予定である。
 今回とこれまでの医療向けローカーボ講義とは一線を画した点があった。それは「あなたに適したそれぞれのローカーボがある」という視点を組み入れたことのように思う。私たちが最近の二つの臨床研究で明らかにしたことは(Nutri Metab 2014、Metabolism 2015)、①日本人の1日の糖質摂取量はローカーボを実践していない人で150g~600g(ご飯一杯に55gの糖質)のたいへん幅広い分布を示している、②そして糖質摂取量を制限すればするほど血糖やHbA1cは下がるが、体重はそのようにはならないことである。
血糖(HbA1c)、血清脂質、体重のどれを改善したいのかは人によって様々である。600gも食べている人がなにも150gまでに激減する必要などまったくないし、180gしか食べていない人はそもそもローカーボを実施する必要はない。長期的に実施すると発癌や心筋梗塞死が増えることが明らかになっているからだ。それに、目的によってローカーボの効き方が異なり、ローカーボを始める前の糖質摂取量が個人個人で大きくことなるのだから、あなたに適したそれぞれのローカーボがある、というのが当然であって、一律同じような糖質の制限を実践するのは理にかなっていない。
この新しい視点“あなたに適したそれぞれのローカーボ”を中心に今後の臨床研究や啓蒙活動を展開して行きたいと思う今日この頃である。

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