日本ローカーボ食研究会

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5.虚血性脳卒中後におけるスタチン治療とその効果

脳卒中直後にスタチンを内服すると予後が改善する
「虚血性脳卒中後におけるスタチン治療とその効果:システマティック・レビューと観察研究および無作為化試験のメタ解析」 

「Statin Therapy and Outcome After Ischemic Stroke Systematic Review and Meta-Analysis of Observational Studies and Randomized Trials. (Ni Chroinin, D. et al., Stroke (2013); 44:448-456)」

背景と目的:実験データは、スタチン治療が急性脳虚血症後の神経学的な治療成績を改善するかもしれないことを示唆しているが、臨床試験の結果には矛盾がある。我々は虚血性脳卒中後におけるスタチン治療と治療成績の関係をシステマティック・レビューとメタ解析により調査した。

方法:主解析では、脳卒中の兆候段階(脳卒中前にスタチン使用)と機能回復が良好な場合(脳梗塞判定基準0~2)と死亡した場合におけるスタチン治療を調べた。副解析では、(1)急性脳卒中直後のスタチン治療(脳卒中後72時間以内)と、(2) 血栓溶解処置患者を対象に含めた。

結果:主解析では27件の研究、113,148人を対象とした。観察研究では、脳卒中発症時のスタチン治療は、90日目の良好な機能回復と関係していた(統合オッズ比、1.41;95%信頼区間、1.29-1.56;P<0.001)が1年後ではそうはなかった(OR、1.12;95%CI、0.9-1.4;P=0.31)、そして90日目の死亡率を減らし(統合オッズ比、0.71、95%CI、0.62-0.82;P<0.001.)、1年目の死亡率低下(OR、0.8;95%CI0.67-0.95;P=0.01)と関係があった。90日目の機能回復を報告している一件の無作為化対照試験では、スタチン治療は良好な脳卒中の治療成績と関係していた(OR,1.5;95%CI,1.0-2.24;P=0.05)。死亡の減少率は3件の無作為化対照試験(P=0.9)のデータのメタ解析では観察されなかった。血栓溶解処置患者に限定すると、スタチン治療と90日目の死亡率増加との間に関連があった(統合オッズ比、1.25;95%CI、1.02-1.52;P=0.03、3件の研究、4339人)。しかしながら、この関係は年齢と脳卒中の重症度を補正した最大規模の研究では認められなかった(調整済みOR、1.14;95%CI、0.90-1.44;4012人)。

結論:今日まで最大規模のメタアナリシスにおいて、脳卒中発症時におけるスタチン治療と治療成績の改善は関係していた。ただ、血栓溶解処置を施した患者についてはその限りでなかった。急性虚血性脳卒中患者については、スタチン療法の無作為化試験が必要である。

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