日本ローカーボ食研究会

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40.妊娠性糖尿病後の授乳と2型糖尿病の発症

妊娠性糖尿病後の授乳と2型糖尿病の発症:前向きコホート研究
Lactation and Progression to Type 2 Diabetes Mellitus After Gestational Diabetes Mellitus: A Prospective Cohort Study
Gunderson, E. P. et al
Ann Intern Med. doi:10.7326/M15-0807

背景:授乳はグルコース代謝を改善するが、妊娠性糖尿病(GDM)の後に2型糖尿病(DM)を防止する役割はわかっていない。

目的:妊娠性糖尿病の後の,授乳や糖尿病の2年間の発生率を評価する。

デザイン:最近の妊娠性糖尿病がある女性の前向き観察コホート研究(ClinicalTrials.gov: NCT01967030)。

設定:総合健康管理システム

参加者:2008年から2011年までの調査研究「Women, Infant Feeding and Type 2 Diabetes After GDM Pregnancy」の登録者で,GDMと診断され35週目以降に一児を出産した1035人の女性。

測定:出産後6〜9週目(ベースライン)と2年間の追跡中に年1回の合計3回、経口ブドウ糖負荷試験(75 g、2時間後)、身体測定、インタビューを含む対面調査を行った。多変量ワイブル回帰モデルは、潜在的な交絡因子について補正し授乳頻度とDM発症との関連を評価した。

結果:ベースラインで糖尿病のない1010人の女性のうち、959(95%)人が、2年後まで評価できた。そのうち113(11.8%)人がDMを発症した。ベースラインの母乳の授乳頻度とDM発症には段階的な逆相関が認められ、調整乳のみと比べて、主に調整乳または母乳と混合/変動的、主に母乳、母乳のみの場合の調整ハザード比はそれぞれ0.64、0.54、0.46(傾向検定P=0.016)。
母乳の授乳期間もDM発症と段階的な逆の相関を示し、2〜5ヵ月、5ヵ月以上〜10ヵ月、10ヵ月以上の場合の調整ハザード比はそれぞれ0.55、0.50、0.43(傾向検定P=0.007)。体重の変化によってハザード比は若干減少した。

制限:無作為化デザインは、授乳の臨床研究には望ましくない。

結論:高い授乳強度と期間が独立に妊娠性糖尿病後の2年間のDM発生率と関連していた。授乳はGDM後のDM発症を防止することができる。

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